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よこすか文学館

折笠美秋

よこすか文学館<67>

難病による闘病生活の中珠玉の作品を作り続けた横須賀出身の俳人折笠美秋(おりかさ・びしゅう1934-1990)の作品を紹介します。

かくも長き長き臨終また夏の詩 折笠美秋

この句が収められている句集『君なら蝶に』が発行された1986年は美秋の闘病生活4年目にあたります。句集に載る「病臥経過」によれば、「自発呼吸ゼロ、全身不随」の状態でした。自分の姿を「臨終」(よく誤用されますが「終わりに臨む」という意味なので、「死にぎわ」「末期(まつご)」のことです)と表現しつつも、それが長いおかげで「また」夏が巡り来て、夏の詩(句)を詠める、という悲痛さとともに俳人の意気込みも感じさせる句です。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)