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よこすか文学館

第七回(家族詠歌2)

よこすか文学館<19>

賜ひたる「紅」の名前は可憐しけど
ただ眠るのみわれのみどり子

島田修二

第2歌集『青夏』(1969年)所収。年譜によれば島田の長女紅の誕生は昭和40年(1965年)。「みどり子」は、『万葉集』でも使われている語で「新芽のように若々しい児」が原義で幼児のこと。「賜ひたる」は「お与えになった」という意味の尊敬表現で、島田の師・宮柊二(みや・しゅうじ)が名づけ親であることを示しています。後年、思春期の紅さんに宮柊二の写真を見せたときの反応を「名付親宮先生の髭の写真見するになんぞ悲鳴あぐるは」という歌に詠んでいます。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)