> 新よこすか風土記 > よこすか文学館 > よこすか文学館<1>

Story新よこすか風土記

よこすか文学館

第一話「走水の弟橘姫」

よこすか文学館<1>

歴史、小説、映画などジャンルを越えて「よこすか」が舞台となった芸術作品をご紹介します。これから1年間(全12話)にわたり担当していただく中島正二氏は、中古、中世の物語文学を中心に研究され、共著として「中世王朝物語『白露』詳注」(著者:中島正二/田村俊介・笠間書院)があります。

奈良時代成立の『古事記』『日本書紀』に横須賀は登場します。12代景行天皇の皇子にして、素戔嗚尊(すさのおのみこ)と並ぶ英雄、日本武尊(やまとたけるのみこと)の話です。勅命による東国遠征の途中、船で房総半島に渡ろうとした際、強烈な暴風に見舞われました。同行していた女性、弟橘媛(おとたちばなひめ)は海神の心を鎮めるため、自ら身を投げると、風は収まり船は無事に岸に着きました。その海が「走水」であり、日本武尊と弟橘媛を御祭神として祀るのが、走水神社です。ちなみに、日本武尊は14 代仲哀(ちゅうあい)天皇の父、すなわち今上帝(きんじょうてい)のご先祖です。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)