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よこすか文学館

オランダ語の讃美歌の翻訳

よこすか文学館<25>

横須賀市にゆかりのある文学者や歴史上の人物にスポットをあてて、時代背景とエピソードを交えながら彼らの文芸を紹介します。

〔咸臨丸の人々〕勝海舟(1)

幕府の遣米使節の随行艦である咸臨丸は万延元年(1860)1月19日、浦賀を出航し、2月22日、サンフランシスコに到着しました。その咸臨丸の艦長が勝海舟(1823-99)です。彼は、西郷隆盛との会見による江戸城開城などで著名な維新前後の偉人ですが、実は、外国語の讃美歌を最初に邦訳した日本人でもあります。オランダ語の讃美歌を「思ひやつれし君」と題し、「なにすとて やつれし君ぞ 哀れその 思ひたわみて いたづらに 我が世を経めや…」と五七調の長歌として訳しました。長崎海軍伝習所の教師カッテンディーケの影響でキリスト教に深い関心を抱くようになったようで、咸臨丸での渡米の折にも教会の日曜礼拝にも参加していました。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)