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よこすか文学館

正月の俳句

よこすか文学館<37>

横須賀に生まれ育ち、高浜虚子の俳句理念を継承し、現在も活動を続けている俳人高田風人子の作品をご紹介します。

初空や 明治よりある 造船所   高田風人子

掲出句は『惜春賦』(平成8年)所収。「初空」は新年の季題で、「元日の空」のことです。「造船所」は作者が昭和19年から勤務した浦賀船渠、通称「浦賀ドック」のこと。明治32年の設立で、平成15年に閉鎖されるまで、多くの艦船を建造してきました。作者がドックの外から眺望しているとすれば、厳かで広々とした感じの句といえますが、作者たちが元日もドックで働いている風景だとすると、明治からずっと活躍するドックを詠んだ句ということになりそうです。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)