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よこすか文学館

折笠美秋

よこすか文学館<68>

難病による闘病生活の中珠玉の作品を作り続けた横須賀出身の俳人折笠美秋(おりかさ・びしゅう1934-1990)の作品を紹介します。

干戈のこと無かれ子が描く百合百輪 折笠美秋

「干戈(かんか)」は「盾」と「矛」のことで古代の兵器、転じて「戦争」を表し、句の前半は「戦争はなくなれ」という意味になります。美秋は一男一女を持ち、句集『君なら蝶に』には子どもの名を詠み込んだ「時よ明るく移れ冬航(ふゆき)が栗を剥く」「灯して寝る癖の美帆にいま雪明かり」という句もあります。後半の「百合百輪」を描いたとあるのは、美帆ちゃんのほうでしょうか。「百合」は夏の季語、平和を祈る句にふさわしい清楚な花です。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)