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よこすか文学館

折笠美秋

よこすか文学館<71>

難病による闘病生活の中珠玉の作品を作り続けた横須賀出身の俳人折笠美秋(おりかさ・びしゅう1934-1990)の作品を紹介します。

北風をキタカゼ、ピープーと唄いし子はも 折笠美秋

『君なら蝶に』のなかのわが子を詠んだ句の一つ。「キタカゼ、ピープー」は「かきねのかきねのまがりかど」で始まる童謡「たきび」の一節。北風が吹くにつけても、子どもたちが幼いころ「キタカゼ、ピープー」と歌っていたことを思い出すという句意ですが、句末の「はも」は古語で「~はどうなっただろう」という意味なので、病室で北風の音を聞き、今、子どもたちはどうしているだろう、と思いを馳せている気持ちも読み取れそうです。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)