横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。
池波正太郎(1923-1990)は『鬼平犯科帳』『仕掛人・藤枝梅安』などで知られる時代小説家。この本には、池波の回想記(1968年当時)と短編小説「同門の宴」、インタビュー「池波正太郎の〔青春・小説・人生〕」が収載されています。
池波は戦時中、海軍に召集され、「海軍八〇一空」「終戦」の章によれば、1944年2月横須賀海兵団に入団、ついで武山海兵団で新兵教育や「自動車・講習員」の訓練を受け、その後は内地の他の基地に移り、終戦は鳥取県の美保航空基地で迎えました。応召解除時の階級は二等兵曹。上官の理不尽な暴力や物資に関わる不正、尊敬できる上官との出会い、「海軍に入ったくせに、外出に香水もつけんのか!!」とどなられ殴られ、香水2瓶を渡されたというエピソードなど、軍隊生活の様子が描かれています。
(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)