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よこすか文学館

山谷集

よこすか文学館<114>

横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。

土屋文明(1890~1990)は群馬県生まれ、近現代短歌史上の大歌人で、1986年に文化勲章を受章しました。高崎中学卒業後、上京。東京帝大在学中に芥川龍之介らとともに第三次「新思潮」に参加し、卒業後、松本高等女学校等の校長を歴任。1924年に再上京し、歌誌『アララギ』の中心として活躍しました。第3歌集『山谷集』(1935年)には1930年から1934年までの作品が収載されており、そのなかに「横須賀」と題する、「軍艦は出(い)でたるあとの軍港に春の潮みちくらげ多く浮く」などの18首や「相模走水」と題する7首の連作があります。また同歌集の中でも著名な歌「吾が見るは鶴見埋立地の一隅ながらほしいままなり機械力専制は」の次に「横須賀に戦争機械化見しよりもここに個人を思ふは陰惨にすぐ」が配列されています。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)