> 新よこすか風土記 > よこすか文学館 > よこすか文学館<116>

Story新よこすか風土記

よこすか文学館

翳りゆく夏

よこすか文学館<116>

横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。

大手新聞社である東西新聞社の採用試験に合格した女子大生が、実は20年前(=1982年、作品世界の設定は2002年)に起きた誘拐事件の犯人の娘であることが、辣腕編集長のもと、強引な記事を売り物にしている週刊誌によってスクープされます。その事件とは、横須賀市にある総合病院で起きた嬰児誘拐事件で、犯人は身代金受け取りに成功するものの、自動車で逃亡中に事故死、結局、嬰児は行方不明のまま、捜査は打ち切りとなった事件です。東西新聞社に隠然と影響力を行使している、筆頭株主の社主は、20年前の事件の再調査を秘密裡に指令し、2年前の取材中の不幸な事故で閑職に追いやられていた梶(事件当時、横須賀支局勤務の記者だった)が、地道な取材を重ね、ついに意外な真実にたどりつきます。

本作は、第49回江戸川乱歩賞を受賞した作品です。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)