新よこすか風土記

Story

よこすか文学館

猿島の七日間

よこすか文学館<119>

横須賀が登場する文芸作品(マンガも含む)や横須賀に縁のある文学者を紹介します。

猿島を舞台とした小説です。東京に住む小学5年生の西岡彦樹(げんき)は、猿島に一人で釣りに行く計画を立てますが、親の反対を恐れ、多摩川で釣りをすると偽って、日曜の早朝に出かけます。猿島では順調に魚を釣り上げますが、岩場で寝てしまったために、帰路の船に乗り遅れてしまいます。次に船が来るのは1週間後の日曜。彦樹は持参した釣り道具やナイフ、拾ったライター、そして釣りやキャンプの折に父親に教わった知識を頼りに1週間、たった一人で生きていきます。携帯電話もなく、猿島が観光地化されていない時代の冒険物語です。

彦一彦(げん・かずひこ)は1947年成田市生まれ。青山学院大学英文科卒業。独学で絵画を学び、銅版画集『ポルトガルの春』を刊行しています。児童文学としては本書以外に、『たいようはいいな』、『とうさんとさめ』などがあります。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)