新よこすか風土記

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よこすか文学館

進藤一考特集

よこすか文学館<121>

横須賀で生まれ育った俳人進藤一考(しんどう・いっこう、1929-1999)の作品を紹介します。    

しほさゐや弟橘媛朱の破魔矢

第2句集『黄檗山』(1984年)収載。「しほさゐ」は「潮騒」で、潮が満ちてくるときの波の騒ぎ立つ音。「弟橘媛(おとたちばなひめ)」は、日本武尊(やまとたけるのみこと)の后。日本武尊が東征の際に走水の海(浦賀水道)を渡ろうとしたとき、海が荒れ舟が進まなくなり、弟橘媛が身代りとして海に身を投げ海神の祟りを解きました。その弟橘媛を祀った走水神社に初詣をして「朱の破魔矢」をもとめたという意味の句でしょう。

(洗足学園中学高等学校教諭 中島正二)