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よこすか文学館

伊藤博文の短歌

よこすか文学館<33>

横須賀市にゆかりのある文学者や歴史上の人物にスポットをあてて、時代背景とエピソードを交えながら彼らの文芸を紹介します。

〔明治憲法起草の地夏島〕伊藤博文(1)

夏島は、大日本帝国憲法草案の集中的な検討会が開かれ、「夏島草案」がまとめられた地として知られていますが、その責任者であったのが伊藤博文(1841~1909)です。藩閥政権の中心で初代の内閣総理大臣でありますが、立憲政友会を組織し次代の政党政治の礎を用意した大政治家です。また彼は文雅の士でもあり、特に漢詩に秀でていますが、『伊藤公全集』には10首ほど短歌も載録されています。そのなかには「電気鉄道開業式の折」という詞書で「雲の上にきらめき渡る電も車引く世となりにける哉」というユーモラスな短歌があります。電気鉄道は明治28年(1895)京都で初めて開業したので、その折の作と思われます。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)