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よこすか文学館

大島昌弘③

よこすか文学館<59>

横須賀が登場する文芸や横須賀にゆかりのある文学者を紹介します。

大島昌弘
『海の隼 参謀・三浦按針(ウイリアム・アダムス)』(学陽書房)

慶長5年(1600)豊後国に漂着し、徳川家康に重用され、西洋学術の指導者、外交顧問として仕え、元和6年(1620)に平戸で死んだ三浦按針ことウイリアム・アダムスの日本滞在20年を描いた小説です。著者にとっては『北の海鳴り 小説中島三郎助』『罪なくして斬らる 小栗上野介』と併せて横須賀三部作となる作品。家康との関係が見どころの一つで、家康の死後、按針が「無理難題を吹きかけられるたびに能力の限界に挑み、成長させてくれたのだといえなくもない。また、互いに利用し合ってきたとの見方もできるだろう。」(311頁)と回想するのが実に印象的です。ちなみに、按針を称える「三浦按針祭観桜会」が毎年開かれています。

(洗足学園中学高校教諭 中島正二)